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乾癬でコセンティクス®を使用される患者さんへ

監修:
福岡大学医学部 皮膚科学教室 教授
今福 信一 先生

患者数・発症年齢

乾癬患者さんは増えつつあり、日本の患者数は約43万~56万人

乾癬患者さんの数は国や地域によって異なりますが、世界では人口の3%にあたる約1憶2,500万人が乾癬にかかっていると推計されています[1]。日本は欧米に比べると乾癬患者さんの数が少ないといえますが、生活習慣の変化などから日本でもその数が増えつつあります。最近では、日本の乾癬患者さんは約43万~56万人(人口の約0.3~0.4%)と推計されています[2][3]

日本の乾癬患者数

男性にやや多く、10代~70代まで、どの年代でも発症する

乾癬患者さんは男性のほうがやや多い傾向にあり、患者さんの約65%が男性です[4]
発症年齢の平均は38.5歳ですが、10代~70代まで年齢に関係なくどの年代でも発症するのが大きな特徴です[4]。男性、女性とも50代に発症しやすい傾向があります[4]

乾癬の発症年齢

乾癬の発症年齢と患者数

Takahashi H, et al.:J Dermatol. 2011;38(12):1125-1129.

乾癬には5つの種類があり、約9割の患者さんが尋常性乾癬

乾癬には尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、滴状乾癬(てきじょうかんせん)、関節症性乾癬[乾癬性関節炎](かんせつしょうせいかんせん[かんせんせいかんせつえん])、乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)の5つの種類があります。このうち尋常性乾癬の患者さんが最も多く、全体の約90%を占めます[4]。ただし最近、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の患者さんが増えてきており、乾癬患者さんの約14~15%は関節症性乾癬(乾癬性関節炎)という報告もあります[5][6]

乾癬の種類の割合

Takahashi H, et al.:J Dermatol. 2011;38(12):1125-1129.より作成

皮疹は全身のさまざまな場所にみられる

乾癬の症状は全身のさまざまな場所にあらわれますが、頭や背中、ひじ、ひざなど、衣類と擦れたり、外的刺激が多い部位にみられます。

症状

乾癬では皮膚が赤く盛り上がり、銀白色のフケのようなものがポロポロはがれ落ちる

乾癬では皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」、その部分が盛り上がる「浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)」、皮疹の表面に銀白色のフケのようなものができる「鱗屑(りんせつ)」、そして鱗屑がポロポロとはがれ落ちる「落屑(らくせつ)」という症状がみられます。悪化すると皮疹の数が増え、皮疹どうしがくっついて地図のように幅広い皮疹になることもあります。

乾癬の皮膚症状

かゆみを伴うのは約半数の患者さん、こすると新たな乾癬が生じることもあり注意

赤い皮疹といえばかゆいイメージがありますが、かゆみを感じる方は患者さんの約50%といわれています[4]。特に入浴などでからだがあたたまったときにかゆみが出やすくなります。皮疹のない部分をこすったりして刺激を与えると、皮疹ができてしまうことがあり、これをケブネル現象といいます[7]。かゆくても掻かないように注意しましょう。

かゆみを感じる患者さんの割合

皮膚症状だけではなく、爪や関節にも症状があらわれる

乾癬では皮膚症状の他に爪にも症状があらわれることがあります。主に、爪の表面に小さなボツボツとした凸凹ができる「点状陥凹(てんじょうかんおう)」、爪が浮き上がって白い部分が増える「爪甲剥離(そうこうはくり)」、爪が分厚くなり、分厚くなった爪がボロボロはがれ落ちる「爪甲下角質増殖(そうこうかかくしつぞうしょく)」などの症状があらわれます。
乾癬のなかでも関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の患者さんに爪症状がみられることが多く、6割以上の患者さんで認められています[8]
また、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)では、皮疹に加え、関節の痛みや腫れ、変形などの関節症状がみられます。

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の詳しい紹介はこちら

乾癬の爪症状

写真提供:
東海大学医学部専門診療学系皮膚科学 教授
馬渕 智生 先生

【コラム】乾癬って感染するの?

乾癬という病名から感染する病気なのではと誤解されることもありますが、乾癬はうつる病気ではありません。お風呂やプールに一緒に入ってもうつる心配はありません。また病名に対する誤解以外にも、皮疹の見た目から、外出先での人の視線が気になる患者さんも少なくありません。
誤解や偏見に悩まされる乾癬ですが、この10年間で治療は大きく進歩したといわれています。乾癬のことをよく理解し、自分に合う治療をみつけ、人目を気にすることのない自分らしい生活を送っていただきたいです。

イメージ:水泳のイラスト

乾癬の種類

乾癬は症状やそのあらわれかたの違いにより、次の5つの種類に分けられます。

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)[7][9]

  • 最もよくみられるタイプの乾癬です。一般的に乾癬というと尋常性乾癬のことをいいます。
  • 紅斑(こうはん)(皮膚が赤くなる)、丘疹(きゅうしん)(皮膚の小さな盛り上がり)、浸潤(しんじゅん)(皮膚の盛り上がり)、鱗屑(りんせつ)(銀白色のフケのようなもの)が組み合わさって皮疹があらわれます。
  • 最初、丘疹から始まり次第に大きくなって、他の皮疹とくっつき合って、幅広い赤く盛り上がった皮疹となることもあります。
  • 頭、ひじ、ひざ、おしり、太ももなどに皮疹がよくあらわれます。
  • 爪にも症状があらわれることがあり、爪の表面に小さなボツボツとした凸凹ができたり、爪が浮き上がって白い部分が増えたりします。

尋常性乾癬

尋常性乾癬の写真

森田明理:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, p.43.

滴状乾癬(てきじょうかんせん)[7][9]

  • かぜや扁桃腺炎(へんとうせんえん)などの感染症に続いて、からだや手足に0.3~1㎝程度の皮疹があらわれます。
  • 子どもや若い人で発症しやすいです。
  • 1~3ヵ月で皮疹が消失することもありますが、滴状乾癬から尋常性乾癬になることもあります。

滴状乾癬

滴状乾癬の写真

森田明理:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, p.44.

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)(かんせつしょうせいかんせん[かんせんせいかんせつえん])[7][9][10]

  • 乾癬の皮疹に加えて、関節の痛み、腫れ、変形があらわれます。
  • 関節リウマチと似た症状があらわれますがまったく異なる病気です。
  • 関節の痛みよりも皮疹が先にあらわれることが多いです。なかには皮疹があらわれて10年以上も経ってから関節の痛みがあらわれることもあります。
  • 関節の痛みの他にも、アキレス腱や足裏の腱の痛み、腰や背中の痛み、指全体の腫れなどがあらわれ、これらの症状が関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の早期診断のきっかけになることがあります。

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の詳しい紹介はこちら

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の写真

森田明理:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, p.50.

乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)[7][11]

  • 全身の90%以上の皮膚が赤くなり、鱗屑(銀白色のフケのようなもの)ができ、それがポロポロとはがれ落ちます。
  • 尋常性乾癬が全身に広がって乾癬性紅皮症になることが多くみられます。
  • 発熱したり、悪寒がしたりすることが多く、むくみや脱水症状があらわれることもあります。

乾癬性紅皮症

乾癬性紅皮症の写真

森田明理:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, p.46.

膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)[7][9][12]

  • 発熱、悪寒、からだのだるさとともに、全身が赤くなり、膿疱[膿(うみ)を含んだ水ぶくれのようなもの]がたくさんあらわれます。
  • 尋常性乾癬の経過中に発症する場合と、突然発症する場合があり、いったんよくなっても症状を繰り返したりします。
  • 乾癬のなかでは発症する割合が最も低いのですが、他の病気を合併することもあるため、早めに適切な治療を受けることが大切です。
  • 全身に膿疱があらわれる膿疱性乾癬[汎発型(はんぱつがた)]は厚生労働省の指定難病です。認定基準を満たすと医療費の助成が受けられます。

膿疱性乾癬

膿疱性乾癬の写真

森田明理:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, p.47.

原因

発症原因はまだ明らかになっていないが、からだの免疫システムの異常が関係

乾癬の発症原因については、さまざまな研究が行われていますが、まだはっきりとわかっておらず、遺伝的な要因に環境要因が加わって発症すると考えられています[13]。遺伝的な要因とは乾癬になりやすい体質のことです。環境要因としては、かぜなどの感染症、服用している薬、皮膚への刺激、肥満、糖尿病、高血圧、精神的ストレスなどがあります[14]
遺伝的な要因と環境要因が複雑に関わりあって、からだの免疫システムに異常が起こり、乾癬を発症すると考えられています。

乾癬になりやすい体質

親が乾癬だと子どもも乾癬になるの?

乾癬になりやすい体質は遺伝すると考えられています。でも親が乾癬だからといって、その子どもも必ず乾癬になるわけではありません。親や兄弟、あるいは祖父母が乾癬だった場合に発症する割合は5%程度といわれています[14]

イメージ:大人と子供のイラスト

病態

IL-17Aなどの炎症性サイトカインが乾癬の症状を引き起こす

乾癬の症状がどのようにして起こるのかについては、「炎症性サイトカイン」という物質が重要な役割を果たしています。サイトカインは免疫機能の調節や炎症などに関わるたんぱく質で、そのなかでも炎症の原因となるものが炎症性サイトカインです。
からだの免疫システムに異常が起こると、炎症性サイトカインが過剰に作られ、乾癬の症状が引き起こされます。
炎症性サイトカインにはいくつかの種類がありますが、そのなかでもIL-17A(インターロイキン・17・エー)という炎症性サイトカインが乾癬の病態に深く関わっていると考えられています[14]。その他にもIL-23やTNF-α(ティーエヌエフアルファ)というサイトカインも関わっていると考えられています[15]

炎症とサイトカイン

皮膚の細胞が異常に増えることにより、新陳代謝が活発になり、鱗屑がはがれ落ちる

炎症性サイトカインが過剰に作られた結果、皮膚では実際にどのようなことが起こっているのでしょうか。
まず、「皮膚の細胞が異常に増えること」と「炎症」があらわれるようになります[13]
この「皮膚の細胞が異常に増えること」により、乾癬患者さんでは皮膚の新陳代謝が活発になります。皮膚の新陳代謝とは古い表皮(皮膚の一番外側の層)が一定のサイクルで新しい表皮に生まれ変わることです。正常な皮膚では、表皮が作られて垢(あか)としてはがれ落ちるまでに45日ほどかかりますが、乾癬患者さんでは5~6日程度と、約9倍ものはやさで新しい表皮に生まれ変わります[15]
これは過剰に作られた炎症性サイトカインが皮膚の細胞にはたらきかけることによって、皮膚の細胞が異常に増え、厚く積み上がるためです[13]。厚く積み上げられた表皮は、鱗屑(銀白色のフケのようなもの)となってポロポロとはがれ落ちます。

乾癬患者さんと正常な人の皮膚

乾癬患者さんと正常な人の皮膚の新陳代謝サイクル

過剰な炎症性サイトカインが皮膚の炎症を引き起こす

もう一つの皮膚の「炎症」については、過剰に作られたIL-17などの炎症性サイトカインが、血管の形成に関わる物質を産生し、新たな血管が作り出されるため皮膚が赤くなると考えられています[13]
また、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)では関節症状があらわれますが、これも皮膚症状と同じように過剰な炎症性サイトカインによって関節の破壊や変形などが引き起こされます。

関節症状の詳しいメカニズムはこちら

診察と検査

診断には皮疹の注意深い観察が重要

乾癬の診断では症状に関連することを聞いたり、皮疹をみたりすることがとても重要です。特徴的な皮疹の形やそのあらわれかたを注意深く観察することで、多くの場合は乾癬と診断することができます。注意深い皮疹の観察は治療方針の決定にも役立ちます。乾癬かどうかの確認には、皮膚の一部を取って検査する皮膚生検を行う場合もあります。また、皮膚症状の他に関節炎が疑われる場合には、超音波検査などの画像検査や血液検査を行います。

問診(患者さんに症状の経過や状況、家族の病歴などを尋ねる)[16]

問診では次のようなことを確認します。併存症については、乾癬で合併しやすい糖尿病、高血圧、脂質異常症、うつ病、ぶどう膜炎などや、これらが疑われる症状がないかを確認します。

問診で確認すること

  • 発症年齢
  • 家族歴
  • 今までの病気、今持っている病気
  • 服用中の薬剤
  • 生活歴(喫煙、飲酒)
  • かゆみの有無
  • 痛みの有無 など

皮疹の観察[16]

  • 乾癬のあらわれやすい頭、ひじ、ひざ、すね、腰、おしり、太ももなどに、紅斑、浸潤・肥厚、鱗屑といった典型的な症状がないかを確認します。
  • 頭は髪の毛をかき分けて全体を確認します。特に生え際、頭の後ろ部分、耳の中、メガネのツルのあたる部分をよく観察します。
  • 爪の観察は乾癬かどうかの判断に迷う場合にとても大切です。表面のボツボツとした凸凹、爪の浮き上がりなど、乾癬に特徴的な爪の変化を確認します。乾癬と区別がつきにくい足白癬、爪白癬(足の水虫、爪の水虫のこと)が疑われる場合には、皮膚や爪の一部を取って顕微鏡で調べます。
皮疹の観察部位

皮膚生検[16]

  • 診断を確認する場合には、症状のある皮膚の一部を取って顕微鏡で調べます(病理組織検査)。

画像検査[16]

  • 関節炎が疑われる場合には、X線検査、超音波検査、MRI検査などを行い、リウマチなど他の関節の病気と区別したり、関節の破壊や変形がないかを確認します。

血液検査[16]

  • 肝臓や腎臓の機能など基本的なからだの状態を把握しておくことは、治療を決めるために重要です。また、関節の病気の指標や、全身の炎症の程度をみることも多い検査です。
  • 乾癬患者さんは糖尿病や脂質異常症を合併することも多いため、血液中の血糖値やコレステロール値を調べます。その他にも肝臓や腎臓の機能に異常がないかを確認するために、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、クレアチニンなども測定します。肝臓や腎臓の働きが低下していると、これらの検査値が高くなります。
  • ⾎液中にRF(リウマトイド因⼦)、CRP(C反応性たんぱく)、MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)という物質がどれくらいあるのかを測定する場合もあります。
  • RFは関節リウマチの診断に⽤いられる検査項⽬です。関節症状を伴う関節症性乾癬(乾癬性関節炎)では関節リウマチと似た症状がみられますが、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)患者さんの多くはRFが陰性です。そのため、RFは関節症性乾癬(乾癬性関節炎)と関節リウマチを⾒分けるときに役⽴ちます。
  • CRPやMMP-3は、関節の炎症の程度や軟⾻の破壊の程度を評価します。

合併症

全身の炎症性疾患である乾癬はメタボリックシンドロームを合併しやすい

乾癬患者さんはさまざまな病気を合併しやすいといわれています。なかでも高血圧、脂質異常症、糖尿病といったメタボリックシンドロームに関連する病気を合併しやすく、一般の人の約2倍もこれらの病気にかかりやすいことがわかっています[3]
このように乾癬患者さんがメタボリックシンドロームになりやすいのは、乾癬が皮膚だけではなく全身に炎症を生じる病気だからということが最近わかってきました[17]。からだの中で炎症が続くと、インスリン※※の作用が十分に発揮できない“インスリン抵抗性”を生じ、それにより動脈硬化を招き、糖尿病、高血圧、脂質異常症などを発症しやすくなるのです[17]
乾癬が重症になるほどメタボリックシンドロームになりやすい傾向があります[18]。合併症予防のためにも適切な治療を受け、乾癬症状をコントロールすることが大切です。

※メタボリックシンドローム:
内臓肥満に、高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中になりやすい状態のこと。

※※インスリン:
膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げるはたらきがある。

乾癬に合併する病気

乾癬に合併する病気の種類と羅患率

照井正ほか:臨床医薬. 2014;30(3):279-285.

うつ症状がみられる患者さんは多く、症状に気づいたら早めに相談を

乾癬患者さんは見た目にわかる症状であるため、人の視線が気になったり、外出や友達との付き合いを控えたり、半そでの洋服が着られなかったりと、精神的なストレスを抱えていることが多く、うつ症状を合併することがよくあります。実際、乾癬患者さんの28%、つまり4人に1人の患者さんでうつ症状がみられると報告されています[19]
精神的なストレスは乾癬を悪化させる原因にもなるので、気分の落ち込み、何をするにもやる気が出ない、夜眠れないなどの症状がみられたら、医師や看護師さんなどになるべく早めに相談するようにしましょう。

イメージ:うつ状態のイラスト

眼が赤い、痛いなどの症状がみられるぶどう膜炎、症状の重い患者さん、関節炎を伴う患者さんは特に注意

ぶどう膜炎も乾癬患者さんに合併しやすい病気の一つです。その合併頻度は決して高くありませんが、一般の人よりもかかりやすいといわれています[20]
ぶどう膜炎とは眼のなかに炎症を起こす病気の総称で、治療せずにそのまま放置すると、失明するおそれがあるので注意が必要です。眼が赤い、眼が痛い、まぶしい、霧がかかったようにみえる、視力が落ちるなどの症状がみられます[21]。特に乾癬患者さんのなかでも、症状の重い患者さん、関節炎を伴う関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の患者さんはぶどう膜炎を合併しやすい傾向があります[22]。これらの症状に気づいたらすぐに眼科を受診するようにしてください。

ぶどう膜炎の症状
  1. Gupta R, et al.:Curr Dermatol Rep. 2014;3(1):61-78.

  2. Kubota K, et al.:BMJ Open. 2015;5(1):e006450.

  3. 照井正ほか:臨床医薬. 2014;30(3):279-285.

  4. Takahashi H, et al.:J Dermatol. 2011;38(12):1125-1129.

  5. Ohara Y, et al.:J Rheumatol. 2015;42(8):1439-1442.

  6. Yamamoto T, et al.:J Dermatol. 2017;44(6):e121.

  7. 古江増隆総編集:ここまでわかった乾癬の病態と治療. Ⅱ. 症状・診断・鑑別診断, 東京, 2012, 中山書店, pp.60-152.

  8. Zenke Y, et al.:J Am Acad Dermatol. 2017;77(5):863-867.

  9. 小宮根真弓ほか編著:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, pp.42-51.

  10. Yamamoto T, et al.:J Dermatol. 2016;43(10):1193-1196.

  11. 佐伯秀久:日本臨牀. 2018;76(1):41-45.

  12. 難病情報センターホームページ:膿疱性乾癬(汎発型)(指定難病37)(https://www.nanbyou.or.jp/entry/168[2022年9月現在])

  13. 小宮根真弓ほか編著:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, pp.30-33.

  14. 佐野栄紀:日本臨牀. 2018;76(1):22-27.

  15. 古江増隆総編集:ここまでわかった乾癬の病態と治療. Ⅰ. 疫学・病因・病態・病理, 東京, 2012, 中山書店, pp.2-57.

  16. 小宮根真弓ほか編著:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, pp.52-59.

  17. 小宮根真弓ほか編著:困ったときに役立つSTEP UP乾癬診療. 第1章 乾癬の基礎知識, 東京, 2019, メディカルレビュー社, pp.34-40.

  18. Singh S, et al.:PLoS One. 2017;12(7):e0181039.

  19. Dowlatshahi EA, et al.:J Invest Dermatol. 2014;134(6):1542-1551.

  20. Egeberg A, et al.:JAMA Dermatol. 2015;151(11):1200-1205.

  21. 日本眼科医会ホームページ:目についての健康情報-ぶどう膜炎 なぜ? どうしたらいいの(https://www.gankaikai.or.jp/health/59/index.html

  22. Chi CC, et al.:JAMA Ophthalmol. 2017;135(5):415-422.