ゾルゲンスマ点滴静注の治療対象
治療対象となる患者さん
ゾルゲンスマ点滴静注の治療対象となるのは、脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者さんです。
次の項目のすべてに該当する場合のみゾルゲンスマ点滴静注の投与が可能です。
- 過去にゾルゲンスマ点滴静注による治療を受けたことがない
- ゾルゲンスマ点滴静注の成分に対し過敏症の既往がない
- 父親および母親から受け継いだSMN1遺伝子の両方が欠失または変化していることが確認されている
- 2歳未満
- 体重2.6kg以上
- 抗AAV9抗体の検査の結果、陰性であることが確認されている
- プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤に対するアレルギーまたは過敏症の既往がなく、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤が投与できる
慎重な治療適用が必要と考えられる患者さん
以下の項目に1つでも該当する患者さんは、ゾルゲンスマ点滴静注の投与を慎重に判断する必要があります。
- 肝機能障害がある
- 早産児
- 感染症を合併している
- プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤服用中に、やむを得ず予防接種をする必要がある
- 疾患が進行している(永続的な人工呼吸が導入されているなど)
ゾルゲンスマ点滴静注のリスクや注意事項
ゾルゲンスマ点滴静注による治療では、次のようなリスク及び注意事項があります。該当する方は主治医にご相談ください。
ゾルゲンスマ点滴静注の治療を受ける前に必要な検査
ゾルゲンスマ点滴静注の治療を受けた後に必要な検査
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後、特に嘔吐や発熱などの何らかの症状が認められた場合や、検査結果に異常が認められた場合には、担当医師の判断により、さらに頻回に検査を行う場合があります。
プレドニゾロンなどの
副腎皮質ステロイド剤(経口薬)の服用について
ゾルゲンスマ点滴静注の投与により肝機能障害が発現することがあることから、治療開始24時間前から一定期間、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤を服用する必要があります。
同薬の服用によって免疫力が低下するため、必ず感染症予防を実施してください。早産児へのプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤の服用が神経系の発達に影響する可能性があるため、正産期(妊娠37週以降)に相当する期間までゾルゲンスマ点滴静注の投与が延期されることがあります。
プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤(経口薬)の服薬(服薬期間、服薬量)
は患者さんによって異なりますので、必ず医師の指示に従って服用してください。
また、服薬後に嘔吐を認めた場合は、必ず主治医に連絡してください。
特に注意すべき副作用
肝機能障害
肝機能の検査値異常をともなう急性の重篤な肝機能障害及び急性肝不全があらわれることがあります。肝機能障害のリスクを軽減するため、ゾルゲンスマ点滴静注の投与前後にプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤(経口薬)を服用する必要があります。服用期間は患者さんによって異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。
また、肝機能の状態を確認するため、ゾルゲンスマ点滴静注の投与前および投与後3ヵ月間(1ヵ月間は週に1回、その後は2週に1回)は定期的に肝機能検査を実施する必要があります。
血小板減少症
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後初期に、血小板数が減少することがあるため、ゾルゲンスマ点滴静注の投与前および投与後3ヵ月間(1ヵ月間は週に1回、その後は2週に1回)は定期的に血小板数を測定する必要があります。特に投与後2週間は血小板数を注意深く観察する必要があります。
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後に血小板数の異常が認められた場合には、正常範囲に回復するまで血小板数の測定を継続する必要があります。
血栓性微小血管症
ゾルゲンスマ点滴静注の投与から1週間前後に血栓性微小血管症があらわれたとの報告があります。血栓性微小血管症の特徴の1つに血小板減少があるため、ゾルゲンスマ点滴静注の投与前および投与後3ヵ月間(1ヵ月間は週に1回、その後は2週に1回)は定期的に血小板数を測定する必要があります。
注入に伴う反応
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後に注入に伴う反応があらわれることがあります。
その他の副作用
発熱・嘔吐
ゾルゲンスマ点滴静注の投与初期に、発熱や嘔吐があらわれることがあるため、お子さんの状態をよく見ていただく必要があります。
トロポニンⅠ増加
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後に心筋トロポニンIが増加することがあるため、心筋トロポニンIを測定する必要があります。
ゾルゲンスマ点滴静注における投与前の注意事項
ゾルゲンスマ点滴静注投与前の
呼吸管理や感染症予防について
SMAの患者さんは、痰を吐き出すことが難しく、睡眠中に呼吸困難に陥ることがあります。かぜなどの呼吸器感染症はその症状をさらに悪化させます。ゾルゲンスマ点滴静注の投与決定以降は、毎日の感染症予防が重要です。
ゾルゲンスマ点滴静注における投与後の注意事項
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後に患者さんおよび
そのご家族が注意すべき症状
- 発熱や嘔吐があらわれた場合
- 嘔吐、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)または意識の低下等の症状が認められた場合[肝機能障害を示唆する徴候]
- ケガをした時の内出血が治りにくい、出血がいつもより止まりにくい等の症状が認められた場合[血小板減少症を示唆する徴候]
- 内出血の増加、嘔吐、尿量減少、痙攣発作等の症状が認められた場合[血栓性微小血管症を示唆する徴候]
- 皮膚が白~青紫色になる、呼吸が早くなる、息切れ、手足や腹部のむくみなどの症状が認められた場合[心疾患を示唆する徴候]
- 発疹、蕁麻疹、潮紅、嘔吐、頻脈、発熱等の症状が認められた場合[注入に伴う反応を示唆する徴候]
上記の徴候・症状が認められた場合は、すぐに主治医に連絡をしてください。
ゾルゲンスマ点滴静注投与後の
呼吸管理や感染症予防について
SMAの患者さんは、痰を吐き出すことが難しく、睡眠中に呼吸困難に陥ることがあります。かぜなどの呼吸器感染症はその症状をさらに悪化させます。ゾルゲンスマ点滴静注による治療を受ける患者さんは、併用しているプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤の影響で免疫力が低下しているため、毎日の感染症予防が重要です。
体液や排泄物の処理について
ゾルゲンスマ点滴静注の治療を受けた患者さんの体液(鼻水、よだれ、なみだ)や排泄物(嘔吐物、尿、糞便)には、ゾルゲンスマ点滴静注由来の改変ウイルスが一定期間含まれます。改変ウイルスの広がりを最小限にするために下記の対策にご協力ください。
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後24時間まで
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後4週間が経過するまで
ゾルゲンスマ点滴静注の治療を受けた患者さんの体液や排泄物には、ゾルゲンスマ点滴静注由来の改変ウイルスが一定期間含まれます。改変ウイルスの広がりを最小限にするために下記の対策にご協力ください。
脊髄性筋萎縮における支持療法
SMAに対する支持療法として下記のようなものがあります。
ゾルゲンスマ点滴静注の投与後も必要に応じて上記の支持療法を行ってください。
お子さんの成長にともないご注意いただきたいこと
ゾルゲンスマ点滴静注によって導入された改変SMN遺伝子は、お子さんのからだの中に留まります。そのため、お子さんの成長にあわせて実施した治療の説明を継続的に行う必要があります。また、長期にわたる経過観察が必要なこともご理解ください。
遺伝カウンセリングについて
ご希望に応じて遺伝カウンセリングを実施いたします。お子さんが幼児期に達した際は、お子さんとご一緒に説明をさせていただきます。
[遺伝カウンセリングで説明する内容]
- SMAは遺伝子の疾患であること
- ゾルゲンスマ点滴静注による遺伝子補充療法を受けたこと
- 導入した遺伝子は安定的に核内に留まること
- ゾルゲンスマ点滴静注は生殖器官に長期間残存して生殖細胞に影響を及ぼす可能性は否定できないこと
お子さんへの説明
お子さんが理解できるような年齢に達した際に、ゾルゲンスマ点滴静注を投与したことをご家族から説明してください。
[説明していただきたい内容]
- ゾルゲンスマ点滴静注による遺伝子補充療法を受けたこと
- ゾルゲンスマ点滴静注の投与によって導入された遺伝子は患者さんの染色体に組み込まれることなく、長期的に細胞内に留まって必要なタンパク質をつくると考えられていること
長期フォローアップ
ゾルゲンスマ点滴静注を投与した患者さんは、安全性と有効性を確認する製造販売後調査にご協力いただく場合があります。
[ご協力いただいた場合の検査例:
運動機能を調べる検査(筋力と運動機能を確認するための検査)]
- CHOP-INTEND(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders)
- HINE(Hammersmith Infant Neurological Examination)(Hammersmith乳児神経学的検査)
- HFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale[Expanded])(拡大Hammersmith運動機能評価スケール)
など
日常生活の注意事項
異常を感じたらすぐに主治医へ連絡
からだの異常を感じたら、主治医に連絡しましょう。
ゾルゲンスマ連絡カードの活用
緊急時などに適切な処置を受けられるように、ゾルゲンスマ連絡カードを携帯し、医療関係者へ提示できるようにしましょう。
また、ゾルゲンスマ点滴静注の投与4週間が経過するまでに他の医療機関を受診する際は、主治医にご相談ください。
感染症に注意
併用しているプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤の影響で免疫力が低下しているため、かぜやインフルエンザなど感染症に注意しましょう。
その他
引っ越しなどで病院を変更して主治医が変更となる場合は、必ず現在の主治医に連絡してください。
資料リンク
ゾルゲンスマ点滴静注による遺伝子補充療法を
受けられる方とそのご家族へ
患者カードについて
ゾルゲンスマの治療を受けたお子様のケアについて