ゾルゲンスマ髄注の治療対象
治療対象となる患者さん
ゾルゲンスマ髄注の治療対象となるのは、脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者さんです。
次の項目のすべてに該当する場合のみゾルゲンスマ髄注の投与が可能です。
- 過去にゾルゲンスマ点滴静注・髄注による治療を受けたことがない
- ゾルゲンスマ髄注の成分に対し過敏症の既往がない
- 父親および母親から受け継いだSMN1遺伝子の両方が欠失または変化していることが確認されている
- 2歳以上
- 抗AAV9抗体の検査の結果、陰性であることが確認されている
- プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤に対するアレルギーまたは過敏症の既往がなく、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤が投与できる
以下の患者さんには臨床試験での使用経験がないため、本品投与前にリスクとベネフィットを考慮した上で投与される必要があります。
- 18歳以上
- SMN2遺伝子のコピー数が4以上で、SMAの臨床症状が発現前の方
- 永続的な人工呼吸が導入されたなどの疾患が進行した方
慎重な治療適用が必要と考えられる患者さん
以下の項目に1つでも該当する患者さんは、ゾルゲンスマ髄注の投与を慎重に判断する必要があります。
- 肝機能障害がある
- 感染症を合併している
- プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤服用中に、やむを得ず予防接種をする必要がある
- 妊娠中の方、妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
ゾルゲンスマ髄注のリスクや注意事項
ゾルゲンスマ髄注による治療では、次のようなリスク及び注意事項があります。該当する方は主治医にご相談ください。
ゾルゲンスマ髄注の治療を受ける前に必要な検査
ゾルゲンスマ髄注の治療を受けた後に必要な検査
ゾルゲンスマ髄注の投与後、特に嘔吐や発熱などの何らかの症状が認められた場合や、検査結果に異常が認められた場合には、主治医の判断により、さらに頻回に検査を行う場合があります。
プレドニゾロンなどの
副腎皮質ステロイド剤(経口薬)の服用について
ゾルゲンスマ髄注の投与により肝機能障害があらわれることがあることから、治療開始24時間前から一定期間、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤を服用する必要があります。
同薬の服用によって免疫力が低下するため、必ず感染症予防を実施してください。
プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤(経口薬)の服用(服用期間、服用量)は患者さんによって異なりますので、必ず主治医の指示に従って服用してください。
また、服用後に嘔吐を認めた場合は、必ず主治医に連絡してください。
プレドニゾロン投与中に他剤を服用する場合は必要に応じて主治医に相談してください。
特に注意すべき副作用
肝機能障害
ゾルゲンスマ髄注の投与後に、肝機能の検査値異常などをともなう肝機能障害があらわれることがあります。
また、ゾルゲンスマ点滴静注を投与された患者さんにおいて、肝不全があらわれたとの報告があります。
肝機能障害のリスクを軽減するため、ゾルゲンスマ髄注の投与前後にプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤(経口薬)を服用する必要があります。服用期間は患者さんによって異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。
また、肝機能の状態を確認するため、ゾルゲンスマ髄注の投与前および投与後3ヵ月間は定期的(1ヵ月間は週に1回、その後は2週に1回)に肝機能検査を実施する必要があります。
血小板減少症
ゾルゲンスマ髄注の投与後初期に、血小板数が減少することがあるため、ゾルゲンスマ髄注の投与前および投与後は定期的(少なくとも1ヵ月間は週に1回、必要な場合はさらに継続)に血小板数を測定し、注意深く観察する必要があります。
ゾルゲンスマ髄注の投与後に血小板数の異常が認められた場合には、正常範囲に回復するまで血小板数の測定を継続する必要があります。
末梢性感覚ニューロパチー
ゾルゲンスマ髄注の投与後約3週間に、末梢性感覚ニューロパチーがあらわれたとの報告があります。患者さんが幼児の場合、ご家族が状態をよく見ていただく必要があります。ニューロパチーの症状は長期にわたることがあります。
血栓性微小血管症
ゾルゲンスマ髄注を投与された患者さんにおいて、ゾルゲンスマ点滴静注の投与から1週間前後に血栓性微小血管症があらわれたとの報告があります。
その他の副作用
頭痛、浮動性めまい、感覚鈍麻、錯感覚、嘔吐、発熱、上気道感染、四肢痛
ゾルゲンスマ髄注の投与後に、上記副作用があらわれることがあるため、注意いただく必要があります。
腰椎穿刺に関連した副作用
腰椎穿刺後は吐き気や嘔吐、頭痛、めまい、背中の痛みがあらわれることがあるため、安静を保ち、全身状態を観察します。
ゾルゲンスマ髄注における投与前の注意事項
ゾルゲンスマ髄注投与前の
呼吸管理や感染症予防について
SMAの患者さんは、痰を吐き出すことが難しく、睡眠中に呼吸困難に陥ることがあります。かぜなどの呼吸器感染症はその症状をさらに悪化させます。ゾルゲンスマ髄注の投与決定以降は、毎日の感染症予防が重要です。
ゾルゲンスマ髄注における投与後の注意事項
ゾルゲンスマ髄注の投与後に患者さんおよび
そのご家族が注意すべき症状
- 嘔吐、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)または意識の低下などの症状が認められた場合[肝機能障害を示唆する徴候]
- ケガをした時の内出血が治りにくい、出血がいつもより止まりにくいなどの症状が認められた場合[血小板減少症を示唆する徴候]
- 手足のしびれ感やピリピリ感などの症状が認められた場合[末梢性感覚ニューロパチーを示唆する徴候]
- 内出血の増加、嘔吐、尿量減少、痙攣発作などの症状が認められた場合[血栓性微小血管症を示唆する徴候]
- 頭痛、浮動性めまい、感覚鈍麻、錯感覚、嘔吐、発熱、上気道感染、四肢痛があらわれた場合
上記の徴候・症状が認められた場合は、すぐに主治医に連絡をしてください。
ゾルゲンスマ髄注投与後の
呼吸管理や感染症予防について
SMAの患者さんは、痰を吐き出すことが難しく、睡眠中に呼吸困難に陥ることがあります。かぜなどの呼吸器感染症はその症状をさらに悪化させます。ゾルゲンスマ髄注による治療を受ける患者さんは、併用しているプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤の影響で免疫力が低下しているため、毎日の感染症予防が重要です。
体液や排泄物の処理について
ゾルゲンスマの成分に含まれるアデノ随伴ウイルス9型のカプシドを有するアデノ随伴ウイルスについては、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」に基づき承認された第一種使用規程が定められていることから、本品の使用にあたっては第一種使用規程を遵守してください。
ゾルゲンスマ髄注の治療を受けた患者さんの体液(鼻水、よだれ、なみだ)や排泄物(嘔吐物、尿、糞便)には、ゾルゲンスマ髄注由来の改変ウイルスが一定期間含まれます。改変ウイルスの広がりを最小限にするために下記の対策にご協力ください。
ゾルゲンスマ髄注の投与後2週間が経過するまで
脊髄性筋萎縮における支持療法
SMAに対する支持療法として下記のようなものがあります。
ゾルゲンスマ髄注の投与後も必要に応じて上記の支持療法を行ってください。
治療を行ううえでご注意いただきたいこと
ゾルゲンスマ髄注によって導入された改変SMN遺伝子は、患者さんのからだの中に留まります。そのため、患者さんの年齢にあわせて治療内容の説明を継続的に行う必要があります。また、長期にわたる経過観察が必要なこともご理解ください。
遺伝カウンセリングについて
ご希望に応じて遺伝カウンセリングを実施いたします。患者さんの年齢やご希望に応じて、患者さんとご一緒に説明をさせていただきます。
[遺伝カウンセリングで説明する内容]
- SMAは遺伝子の疾患であること
- ゾルゲンスマ髄注による遺伝子補充療法を受けたこと
- 導入した遺伝子は安定的に核内に留まること
- ゾルゲンスマ髄注は生殖器官に長期間残存して生殖細胞に影響を及ぼす可能性は否定できないこと
ゾルゲンスマ髄注の投与に関する説明
患者さんが幼児の場合、理解できるような年齢に達した際に、ゾルゲンスマ髄注を投与したことをご家族から説明してください。
[説明していただきたい内容]
- ゾルゲンスマ髄注による遺伝子補充療法を受けたこと
- ゾルゲンスマ髄注投与によって導入された遺伝子はお子さんの染色体に組み込まれる可能性は低く、長期的に細胞内に留まって必要なタンパク質をつくると考えられていること
長期フォローアップ
ゾルゲンスマ髄注を投与した患者さんは、安全性と有効性を確認する製造販売後調査にご協力いただく場合があります。
[ご協力いただいた場合の検査例:
運動機能を調べる検査(筋力と運動機能を確認するための検査)]
- CHOP-INTEND(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders)
- HFMSE(Hammersmith Functional Motor Scale[Expanded])(拡大Hammersmith運動機能評価スケール)
- RULM(Revised Upper Limb Module)(上肢モジュール改訂版)
など
日常生活の注意事項
異常を感じたらすぐに主治医へ連絡
からだの異常を感じたら、主治医に連絡しましょう。
感染症に注意
併用しているプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤の影響で免疫力が低下しているため、かぜやインフルエンザなど感染症に注意しましょう。
その他
引っ越しなどで病院を変更して主治医が変更となる場合は、必ず現在の主治医に連絡してください。
資料リンク
ゾルゲンスマ髄注による遺伝子補充療法を
受けられる方とそのご家族へ
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患者カードについて
現在ダウンロードできません。